舞台を流れる時間についてのこと
あけましておめでとうございます。中村大地です。 あけましてというのももうだいぶ日が経ってしまったか。さて、これが最後の稽古日誌です。今回の作品は予想以上に評判が良かった。評判がいいというか、客席が普段の上演よりも集中して作品に付き合ってくれている、と思える上演が多くて、それはとても良かった。徳永さんをはじめ、様々な方に声の小ささについて言及していただいたので、そのことについて書きます。 深夜にそっと、屋根裏ハイツ『ここは出口ではない』の追記。声の小ささについていくつかツイート(どれも否定的ではない)を目にしたので、昨夜FBに書いたものを少し丁寧に。確かにものすごく小さな声量の、しかもモゴモゴと聞き取りづらい発話で会話から始まるのだけれど、これは完全に、 — 徳永京子 (@k_tokunaga) 2018年12月22日 屋根裏ハイツ『ここは出口ではない』追記②観客が耳を澄まさざるを得ない状況をつくるため。人間は小さな声や光に無意識に集中する。つまりこの話のオープニングそのものが、登場人物が小さな声でモゴモゴ話すのが不自然ではない設定になっている。そしてこのあと実は俳優の声量は少しずつ大きくなる。 — 徳永京子 (@k_tokunaga) 2018年12月22日 屋根裏ハイツ『ここは出口ではない』追記③男が何度もキッチンとリビングを行き来するのは、リビングにいる彼女との会話に、わずかに声を張る必要が出てくるから。というか、わずかに声を張っても不自然ではないから。作・演出の中村大地はこのあとも、俳優の声量が上がっていくことを観客に — 徳永京子 (@k_tokunaga) 2018年12月22日 屋根裏ハイツ『ここは出口ではない』追記④気付かせないシチュエーションを次々とつくり、あの儚い物語の入口にスムーズに、完全に、導き入れるのだ。ふたりが舞台から去り奥のキッチンで会話するのは、おそらく観客の聴力と俳優の(不自然に感じないギリギリの)声量をチューニングし、客席の集中力を — 徳永京子 (@k_tokunaga) 2018年12月22日 屋根裏ハイツ『ここは出口ではない』追記⑤仕上げているのだと思う。これはかなり凄いこと。その微細な声量の変化を、何もしていませんという顔でしてしまう俳優たちも、中村も。本日