④『暗くてなるものか』19日14時の回感想

19日14時の回のお客様の感想です。


・ 旗揚げらしい、宣言のような公演だと思いました。物事を突き詰めて考えるという行為(多くは常軌を逸する)には、私自身が結構こだわっていて、それなりに自信もある(こんなこと考えるのあれだけだろう的に)のですが、こういう公演を見ると、「ああ そうだよね。みんな考えるんだよなあ」ということをひしひしと実感し、自分だけじゃないという安心とともにうかうかしてられないということも感じさせてくれました。あ、そうそう「自己言及的」という言葉もありました。これも専売特許返上ですね。影絵の遊びは、うーん。ねらいは悪くないし、必要性もわかるけど、ほかの演技の質と並べるとなぜか浮いてますね。マイクの使用、絵の具の使用などのわかりやすさに比べると、いまいち分かりにくい。作品の本質と関係ないかもしれませんが、私自身、以前借りたアパートが「亡くなった人がいる」ワケアリ物件でした。借りた部屋に住むというわけではなかったので。あんまり気にしなかったのですが、それなりに臭いは残っていましたね。(遠方から来た客を泊めたりもしたのですが) 演者と演技のトーンの混ぜ方にはちょっと混乱しました。でもその混乱は「普通」という意識もあるなあ、と。大地君の「ロック」的な感性がすごくよく伝わってくる舞台でした。もう話しちゃったのでここまで。

・どう理解していいかわからないけど、おもしろかったです。世代のギャップを感じました。中村さんの演出作品を見るのは3本目ですが、こんなに面白かったのは初めてかもしれません(失礼)楽屋的なというか役者の素みたいなものを入れ込むのはどういう効果を狙ってるのか、出してるのかわかりませんが、きっと意味があるんですよね。無しでは成立しないんですよね。前半、あまり集中してみることができませんでしたが、ウェルネスさん登場あたりから、ぐいぐい入り込めました。音響、マイク、の効果もあるのだと思いますが。役者さん「松井さん」の感じがとてもよかったです。そうちがもっとぺったりと白いか、つぎはぎで白いとかっこいいと思いました。渡邉さんのカップが、もっと重量感のあるカップの方がいいと思いました。(割れても飛び散らない処理をして)イスから落ちた時の音がさびしいです。と、いろいろ求めますが、面白かったです。

・客入れの曲かっこいいですね。関係性の描写に注力していたのかなと思いました。上手く言えないのですが、一貫した空気感が壊れず続いていたと思います。言葉遣いが好きでした。

・気持ちの悪い公演だった。(ほめことば)煮え切らないのが腹の中に残るよね。公演中の、作品といての創りをこれにするのならば、前説(後説?)とかいらないんじゃない?いるのか。観客としては、破壊衝動に駆られて。白い紙をぐしゃぐしゃにしたい。前の席に90分はお尻が痛くなるね。この作品は10-BOXじゃないところでやってほしいなぁ…。コップのにずじゃバーッてやってしまうところが一番好き。いいぞ、もっとやれ。

・お疲れ様です。スタッフの方が出たり入ったり、あれは…演出?全員の話し方が自分語り風なのが少しつらかったです。顔を見たくないというのに、死体との距離が無造作に過ぎる気がしました。汚物としての扱いでもないし…。顔を見る→死体の始末に話が移行しているのも「あれ?」と思いました。間取りは私の席からは少し見えにくかった。開演前、会場中に間取りやタイトルを書き始めた方が間としては面白いのでは、と感じました。話の堂々巡りさは別役実を思わせました…。もっと言葉を厳選してこの作りを極めていったらどうなるか、興味があります。

・演劇における演者の存在についていろいろと考えさせられた。現在の自分の実生活って少なからず自分の演技に影響するものだと思う。現代の特有な社会問題に目を向けた作品で、死というどうにもならないことにどう取り組んだらいいのかわからない。生き方は選べるけど、死に方って選べないなあと思います。あと、たくさん大地さんがいるなあ、役者みんな大地さんっぽいなあと思います。

・演者自身(現実)と舞台上の情報(非現実)がクロスオーバーするメタ的な構成が印象的だった。死体=見たくないもの、思い出したくないもの物はだれだって見たくない。全てから目をそらした姉や境界を引き直している妹の反応は自然な気もする。時生君の「吐き気がする」からの一連のセリフが印象に残った。劇中音響(?)の方の声が聞こえたのが気になった。

・普段聞こえない言葉が聞こえるのは面白いなと思いました。(演劇だから?)でも聴かせてくれたらもっと好きです。そもそも俺は聞こえない方が好き。あと最初と終盤途中の緊張感が好きでした。

・トライアウト感は否めなかったのはどうしてかなと思っていました。第4の壁にこだわり過ぎてる気がする。これからに期待します。

・苦しい観劇体験でした。テクストの「けど」「わかんない」「なんとな」の語尾が、モヤモヤさせてくれた。うーむ。役者もっとはぎれよいところがあってもよかったのでは?おそかった。長かった。つかれた。「うんこ」のところもっと笑いたかった。大地テクスト作品の少し暴力的なところがニガテ。なのがわかった。でもたぶん次もみにきます。

・「フィクションです」とパンフに書いてなかったら色々考えてしまいそうだななどと感じてました。謎だらけでしたが!思っていることや取っているスタンス、立場があったり変わったり、変わりそうなのに変わらなかったりっていうのが、少しだけ身近に思えた気もしました。他のお客さんがどんあ風に見てるのかなーと気になってキョロキョロしたりもしましたが、何かまちまちでした。スゴく興味がある人はありそう!イヤな人はイヤそう。それも含めて楽しそうでした。

・セリフの1つ1つに耳を澄ませて、この作品の発するものを感じとろうとしました。避けられないこと、見たくはないのに見なければいけないものがあって、そこら中にあるけれどみんなそれを意識しないよう上手に器用に生きている。でもどうしても意識せざるを得ない場面が必ずあってそれを押しつけようとしたり更にきれいに見えるよう工夫したりしてやりすごしている。それでいいのか?他人との間に線を引いて生きて完全に生きていけないのでは?そういう言葉がこめられているように思いました。

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