「再開」 稽古日誌 4/23,24

23,24の稽古日誌をまとめて担当することにしました。
中村です。
まず23日は、稽古場にNOOKの酒井さん、長崎さんが来て下さり、いわゆる「種」の語りの撮影をした。ここで俳優たちにとってはほとんど一か月ぶりとなる「種」の語りは、多くの気付きをもたらすことになった。
何かといえば、テキストを通じて作った「種」の語りは、他のどの語りと比べても決定的に変化していて、言うならまったくあたらしい第四の語りが生まれたのではないかと思うほどだった。
伝承の過程を稽古過程に無理やりねじ込んだ今回の作品のなかで、電実際に起こる語り継ぎと決定的に異なってくるのは、「種」も含めた語り継ぐが和賀全員生きているということと、ある話においては「種」であった俳優も他の人の「種」を継ぐ継承する側になっているということである。
ここには、民話や伝説を語り継ぐ行為にはできない、不思議なフィードバック、循環のようなものが必然的に生まれる。
それが種の語りには生じている。

23日の通しから24日にかけては、誰が、どの物語を語ってもいい。ということになった。つまり伝承の結果である三番目の語り(※)を見せるとか、そういったことはかなぐり捨てて、せっかく実現した「全員が台本を全部覚えている(!)」という事実を取ることにしたのだ。

この判断によって、俳優は自由になった。自由であることは語りをグングン魅力的にした。何より重要で最大の発見なのは、「語りたいという欲求が無ければ、なかなか語りをすることはできない」ということである。
自由になった俳優が次々に語ることで、そこには「場」が生まれる。
過剰な装飾をすることなく、シンプルにした空間の中で、俳優の声だけで生み出す「場」は、これ以上なく一回性の空間になるだろう。
だから「見に来てほしい」とは思わなくなった。みなさん、ぜひ体感しに来て下さい。
当日も1500円。上演時間は1時間。フラっと遊びに来てくれればとてもうれしいです。



今回の上演の特性、稽古方法に関する解説はこちらのページをご覧ください。
http://yaneura-heights.blogspot.jp/2016/04/blog-post_26.html

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