「再開」 稽古の方法

【稽古の方法】※Facebookイベントページに書いた物と同じ
明日から本番まで休みなく集中稽古が始まります。
僕はここまで稽古に帯同できてないので、何より新たな語りを聞けることがとても楽しみです。
西和賀でやってたことも含めて、今回僕が着目したことについて改めて言及しようと思います。
テーマは「民話」のこの作品。ぼくがその中で着目したのは口伝えによる伝承行為でした。
それをどのように作品に反映させていったのかといえば、まず稽古のプロセスにそれを反映しました。3/12に行われた雪の演劇祭の当日パンフレットに載せた文言を一部転載します。

作品の創作過程はざっと以下のようなものです。
1.出演者(たとえばAさん)は、3つほどの物語を覚えて練習する。
2.その覚えた物語をAさんは別の出演者(たとえば、Bさん)に向かって語り伝える。
3.そのようにして物語を語り伝えられたBさんが、今日皆様の前に登場し、語りを行う人物です。
AさんはAさんで、また別のCさんから物語を引き継ぎ、CさんはBさんから別の物語を引き継ぎ・・・という構図で物語を覚え、創作が進んでいきました。
(中略)
ですが良き語り手となるべく彼らが、日々の中で良き聞き手足らんと勤めた足跡を少しでも残しておきたいと私は思いました。
滞在の中で、彼らは少なくない数の町の人々の話を聞き、語り手の身体を見つめ向き合ってきました。
そのこともまた、合わせて記しておこうと思います。”
字面で伝わりきらない面もあると思いますが、このような感じで進めていきました。
そして先週から再開している仙台公演に向けての準備稽古では、Aさんの語りはBさんを経てCさんへと引き継いでいました。
親から子へ、子から孫へと伝わっていく継承のプロセスを、無理やりやってみよう!というような心意気です。
俳優陣の稽古日誌を確認すれば、3世代目くらいからはどうやら変わってくるようです。
“ 稽古では、2人目が語る→3人目が語るというふうにしかやっていないが、2人目が語る、という補助輪を外して、いきなり3人目が語るとどうなるのだろうか。種→2人目の時もあったが、引き継いでからしばらくすると、語りは勝手に成長する。3人目の語りは、2人目の語りを聞いた直後の今でさえ、もうかなり元の語りとは別物なので、成長が楽しみである。”
客演してくれてる松井歩くんの稽古日誌 ( http://yaneura-heights.blogspot.jp/2016/04/3f-411.html?m=0 )には⇧のように書いてあります。
この物語がまた子から孫へと伝わっていく。その中で物語は変容していくでしょう。けれども全く別になるわけではない。何かは残る。何が残って、何が消えていくのか。
‘実が虚に変わる瞬間、普遍性を獲得する。普遍性を獲得すると言う事は、そこに付け入る隙を与えるということなのだ。個別の物語に書き換え可能な状態にそれを置くと言うことなのだ。’
これは哲学者の野家啓一さんと鷲田清一さんの対談がメディアテークで開催された時(2014/05/04)に、僕参加してて、そのメモからちらりと引いてみました。

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